「それだけ?てか、お前名前は?」

初対面でお前?

まぁ、拾ってもらったからそこは流しましょう。

『相馬(そうま)です。』

「相馬何?」

名字だけで良くない?!

『…蓮です。』

「そっか。蓮、今日昼、中庭な。」

『はっ?』

「それまで人質!」

あっという間に去っていかれました。

楽譜~!

今日夜いるのにー。

あいつ、誰よ~!

「厄介なのに絡まれたわね。」

ため息まじりの柚乃のセリフに、私は食いつく。

『あれ、誰?!何様?』

「知らない?まぁ、蓮は知らないか。あんたの1番キライな人種だもんね。」

「加賀見虹(かがみこう)。結構有名だけどな。」

新しく聞こえる声。

『桐(きり)!』

皇桐十(すめらぎきりと)。

幼なじみで二十歳になっても、未だに傍にいてくれる、優しくて頼れる男の子。

私の理想男子。