じっと二人を睨んだまま、桐が問いかけると。

柚乃がすかさず返す。

「香川礼。」

「香川組か。んな小せぇ組がふざけてんな。お仕置きがいるな。」

そう言いつつ、桐はケータイを操作したあと、まだ言い合いしてる二人に近づいていく。

あたしと柚乃もそのあとに続く。

「おい、加賀見!遊ぶ女選べや。お前、趣味悪すぎだろ。」

「皇!なんでここに…。」

「おい、蓮の事がバレるのなんて、時間の問題だから今回は先手打つぞ。散々お前の食い散らかした女が、蓮の所に来ていい加減ウンザリなんだよ。しかもこんどはヤクザの娘か?バカだよなぁ、お前って。」

桐の毒舌に呆気にとられる加賀見虹。

まぁ、本当の事だし否定はしない。

「ごめんな、蓮。」

我に返って謝ってくるけど、ほんっと遅いわ!

『私に関わらないで?私は桐だけだから。』

「でもっ…!」

『いくら本気でも、私は答えられない。』

きっぱりバッサリ言った直後。

ヤクザの娘の金切り声が聞こえる。

「あんた何様よ!皇くんだけでは飽きたらず、虹くんまで!絶対うちの組使って人生ドン底味合わせてやるからね!」

こいつ、話聞いてた?

私、ハッキリ振ったよね?

『あれ?私、加賀見虹を振ったよね?この子、理解できなかった?』