家族や友達以外と映画を観るのは初めて。
高校生の男女が夢で入れ替わるストーリー。
映画を久しぶりに観たせいか、
同じ高校生ということに 感情移入しすぎたせいか、
ボロボロ泣いてしまった。
目が腫れるから 泣かないつもりだったのに。
隣を見たら氷上も涙ぐんでて、
目があって、笑った。
泣きすぎたから 水分補給 っていって、映画館の前の芝生広場でオレンジジュースを飲んだ。
映画のおかげか、ジュースのおかげか、
さっきより普通にしゃべれた。
たぶんお互いに。
友達のこと、サッカーのこと。
最近はまっている本のこと、学校のこと。
他愛もないことをたくさん話した。
空が薄暗くなっていく。
点灯した観覧車が紫、オレンジと夕焼けのような色に光輝く。
「最後にあれ乗ってく?」
「うん。」
「俺、あれ乗るの初めて。
母さんが高いからって、乗せてくれなかったんだ。」
「私も初めて。
イケメンの彼氏と乗りなさい!って乗せてくれなかった。」
「イケメンの彼氏と乗れて良かったね。」
氷上がいじわるそうな顔で笑って言った。
この表情、子どもの頃から変わってない。
私の大好きな笑顔のひとつ。
少し前からは考えられない。
こんなに氷上の笑顔が近い。
私だけに向けられた笑顔。
「ほんとう。良かった。」
ふいに手をとられ、観覧車の列に向かって引っ張られた。
観覧車は混んでいて、順番が回ってきたころにはすっかり暗くなっていた。
並んでいた時は、普通に喋れていたのに、中に入った途端 二人だけの空間に 緊張が押し寄せてきた。
向かい合って座ったのに、氷上の顔が見れない。
「すごいね。床までシースルーなんだね。
ちょっと怖いよね。あっ。上の方まで行ったら家とか見えるのかな。」
緊張するとしゃべりすぎる。
私の悪い癖。
「本当にすごいね。高いとこ大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。」
高いとこは別に大丈夫だけど、観覧車って、景色を見ればいいの?
それとも話せばいいの?
景色を見ながら喋るの?
それじゃ、実況中継みたいになるよね。
皆、どうしてるの?
と、下のゴンドラを見たら、信じられないものが見えた。
見てしまった。
抱き合ってキスしてる。
ゴンッ
あまりに驚いて、頭を後ろの窓にぶつけてしまった。
「大丈夫?どうした?」
「いや、あの…」
と困っていると 氷上が振り向き、私が何に驚いたのか気づかれてしまった。
とてつもなく気まずい雰囲気が流れた。
そうか…ママが家族で乗せてくれなかったのは、こういうことか。
観覧車ってそういうことするためのとこなんだ。
ん?私もそういうこと?
え?でも付き合ってまだ1週間だし、そんなことあるかな?
今時の高校生なら1週間でもあるのか?
中学生でもしてる子はしてたもんね。
それをいうなら小学生でも。
いや、でもそれ私にもあてはまるのかな?
氷上もそのつもりなのかな?
でも氷上も初めて乗ったっていうし、お互いにびっくりしてるよね。
ていうか、もうこれどこ見ていいかわからない。
氷上の方も見れないし、
氷上の向こうの景色も見れないし、
もし、振り返って、私の後ろのゴンドラでも ラブラブだったら、もう逃げ場がない。
見ないようにしても超気になる。
また、ぐるぐる考えていると
「そっち側気になるだろ?こっちくる?けっこう綺麗に見えるよ。家も学校も。」
「えっ…うん。」
確かにここは居づらい。
でも氷上の横に行ったらもっと緊張してしまう。
でもでもせっかく乗ったのに、うつむいてばかりも嫌。
思いきって横に座った。
少し触れた手にドキドキした。
「ほら、あそこ小学校じゃない?」
氷上が指差す方を見ると、小さく小学校が見えた。
「あ!本当だ!すごいちっちゃい。綺麗‼」
少し上の方まで来たせいか、景色がキラキラ輝いて、ミニチュアみたいな街並みに目を奪われた。
「あそこらへん、氷上の家じゃない?」
って、振り返ったら、氷上の顔がすぐ近くにあって、
思いっきり目が合った。
目線が外せない。どうしよう…
次の瞬間、氷上の唇が私の唇を覆った。
驚きで目を閉じるのも忘れた。
ゆっくりと1度離れて、呼吸すると、
また唇でふさがれた。
心臓の音が大きくなる。
何も考えられない。
氷上の熱さが伝わってくる。
どれくらいそうしていたんだろう。
呼吸の仕方を忘れていた。
お互いの唇を離すと、
「ごめん。我慢出来なかった…
深瀬が近くにいると、理性が…とぶ…。」
そう言った氷上の顔が、かわいくて。
「ううん。」
何も考えられないような、混乱しているような。
まだ心臓がバクバクしているのに、地上についてしまった。
高校生の男女が夢で入れ替わるストーリー。
映画を久しぶりに観たせいか、
同じ高校生ということに 感情移入しすぎたせいか、
ボロボロ泣いてしまった。
目が腫れるから 泣かないつもりだったのに。
隣を見たら氷上も涙ぐんでて、
目があって、笑った。
泣きすぎたから 水分補給 っていって、映画館の前の芝生広場でオレンジジュースを飲んだ。
映画のおかげか、ジュースのおかげか、
さっきより普通にしゃべれた。
たぶんお互いに。
友達のこと、サッカーのこと。
最近はまっている本のこと、学校のこと。
他愛もないことをたくさん話した。
空が薄暗くなっていく。
点灯した観覧車が紫、オレンジと夕焼けのような色に光輝く。
「最後にあれ乗ってく?」
「うん。」
「俺、あれ乗るの初めて。
母さんが高いからって、乗せてくれなかったんだ。」
「私も初めて。
イケメンの彼氏と乗りなさい!って乗せてくれなかった。」
「イケメンの彼氏と乗れて良かったね。」
氷上がいじわるそうな顔で笑って言った。
この表情、子どもの頃から変わってない。
私の大好きな笑顔のひとつ。
少し前からは考えられない。
こんなに氷上の笑顔が近い。
私だけに向けられた笑顔。
「ほんとう。良かった。」
ふいに手をとられ、観覧車の列に向かって引っ張られた。
観覧車は混んでいて、順番が回ってきたころにはすっかり暗くなっていた。
並んでいた時は、普通に喋れていたのに、中に入った途端 二人だけの空間に 緊張が押し寄せてきた。
向かい合って座ったのに、氷上の顔が見れない。
「すごいね。床までシースルーなんだね。
ちょっと怖いよね。あっ。上の方まで行ったら家とか見えるのかな。」
緊張するとしゃべりすぎる。
私の悪い癖。
「本当にすごいね。高いとこ大丈夫?」
「大丈夫大丈夫。」
高いとこは別に大丈夫だけど、観覧車って、景色を見ればいいの?
それとも話せばいいの?
景色を見ながら喋るの?
それじゃ、実況中継みたいになるよね。
皆、どうしてるの?
と、下のゴンドラを見たら、信じられないものが見えた。
見てしまった。
抱き合ってキスしてる。
ゴンッ
あまりに驚いて、頭を後ろの窓にぶつけてしまった。
「大丈夫?どうした?」
「いや、あの…」
と困っていると 氷上が振り向き、私が何に驚いたのか気づかれてしまった。
とてつもなく気まずい雰囲気が流れた。
そうか…ママが家族で乗せてくれなかったのは、こういうことか。
観覧車ってそういうことするためのとこなんだ。
ん?私もそういうこと?
え?でも付き合ってまだ1週間だし、そんなことあるかな?
今時の高校生なら1週間でもあるのか?
中学生でもしてる子はしてたもんね。
それをいうなら小学生でも。
いや、でもそれ私にもあてはまるのかな?
氷上もそのつもりなのかな?
でも氷上も初めて乗ったっていうし、お互いにびっくりしてるよね。
ていうか、もうこれどこ見ていいかわからない。
氷上の方も見れないし、
氷上の向こうの景色も見れないし、
もし、振り返って、私の後ろのゴンドラでも ラブラブだったら、もう逃げ場がない。
見ないようにしても超気になる。
また、ぐるぐる考えていると
「そっち側気になるだろ?こっちくる?けっこう綺麗に見えるよ。家も学校も。」
「えっ…うん。」
確かにここは居づらい。
でも氷上の横に行ったらもっと緊張してしまう。
でもでもせっかく乗ったのに、うつむいてばかりも嫌。
思いきって横に座った。
少し触れた手にドキドキした。
「ほら、あそこ小学校じゃない?」
氷上が指差す方を見ると、小さく小学校が見えた。
「あ!本当だ!すごいちっちゃい。綺麗‼」
少し上の方まで来たせいか、景色がキラキラ輝いて、ミニチュアみたいな街並みに目を奪われた。
「あそこらへん、氷上の家じゃない?」
って、振り返ったら、氷上の顔がすぐ近くにあって、
思いっきり目が合った。
目線が外せない。どうしよう…
次の瞬間、氷上の唇が私の唇を覆った。
驚きで目を閉じるのも忘れた。
ゆっくりと1度離れて、呼吸すると、
また唇でふさがれた。
心臓の音が大きくなる。
何も考えられない。
氷上の熱さが伝わってくる。
どれくらいそうしていたんだろう。
呼吸の仕方を忘れていた。
お互いの唇を離すと、
「ごめん。我慢出来なかった…
深瀬が近くにいると、理性が…とぶ…。」
そう言った氷上の顔が、かわいくて。
「ううん。」
何も考えられないような、混乱しているような。
まだ心臓がバクバクしているのに、地上についてしまった。