休み時間になった途端、美桜がとんできた。
「結莉!詳しく聞かせて‼」
美桜に、一昨日から昨日までの出来事を話すと、興奮気味に声を弾ませた。
「良かったねー。結莉、綺麗でモテるのに、全く男に興味なさそうだったから、何でだろうと思ってたんだよー。」
「いやいや。モテないよ。
好きな人に好きになってもらえたのは初めてだし。
初カレだし。」
「結莉、鈍いからなー。
というか、まわりのこと考えすぎるとこあるでしょ。
あえて見ないようにしてるとこもあるし。」
美桜の意外な言葉にびっくりした。
彼女の洞察力にも。
確かにまわりには気遣ってるつもりだ。
でも、
「鈍いの?私?」
美桜が少し顔を近づけて、
「にぶいよー。
だってさっき、佐藤が結莉に色々言ってたじゃない?あれって何でだと思う?」
あぁ。さっきの…
「機嫌が悪かったから…?」
「だ・か・ら 何で機嫌が悪いの?」
「…。朝から私が自慢話的なことを話したから、イラッとされたのかなぁ。
そうだよね。嫌だよね。私も嫌いだもん。自慢話。」
「ちがーう。
だから‼ 結莉は 鈍感なの。
誰がどう見ても、佐藤は 結莉に 彼氏が 出来たのが面白くないんだよ!
佐藤は結莉が好きなの。
本当に気付かないの?
アイツは特にバレバレだよ。」
佐藤君が?まだ入学して二ヶ月だし、男女仲のいいクラスだから喋るけど…そんな風に感じたことは1度もない。
「いや…そんなことないと…思う…あるの?」
「あるの。このクラスで結莉を狙ってたやつは多いけど、佐藤が一番本気っぽかったかよ。他を牽制してたし。」
「えっ?牽制?」
「郊外学習の班、佐藤と一緒じゃなかった?」
「一緒だった。けど、たまたま近くにいたグループ同士って感じだったよ。美桜も一緒だったよね。」
「たまたま近くにいるわけないじゃん!佐藤が友達連れてすぐ誘ってきたじゃん!だからすぐ決まったじゃん!」
「そうだった?私、美桜と一緒になれるかどうかばっかり考えてて‥‥」
「ゆうりーー。かわいい!抱きしめたい!でも鈍感!」
そう言って美桜は私の頬をぎゅっと手で挟んだ。
「校外学習でも、普通だったよね。むしろ美桜の方が男子といっぱいしゃべってたよね?美桜は誰とでも打ち解けれてすごいなーと思ってたもん。」
「ゆうり、私とばっかり話してたもんね。
男子は、ゆうりと話したいけど、ゆうりのガードがかたいから、私から崩そうとしてるんだよ。とりあえず友達と仲良くなって、情報聞き出す的な?」
「ないないないない。私の情報なんて、何にもないし。誰も興味ないよ。」
「ゆうり、本気で言ってるの?この偏差値高めの高校を主席で合格。加えて美人。塾ではいつもトップの成績で、入学式で見たときは、私だって驚いたんだから。まさかあの深瀬結莉が、美女だなんて!そして何より、性格がかわいい‥‥。」
「美桜は誉めすぎだよ。そんなたいした人じゃないよ私。」
「たいした人なんだって。だから彼氏いたことないって聞いたとき、うそだろーーって思ったもん。だから 誰とも付き合わないのかと思ってた。理想めっちゃ高いとか。」
「彼氏なんて、できないって。今でもドッキリだったらどうしよう‥‥って半分くらい思ってるもん。」
「ゆうりをドッキリでふる男なんて、いないでしょ。」
「私にはもったいないくらいの人で‥‥。」
「結莉にもったいないくらいの人って、いったいどんな人なのか気になるわーー。写真とか撮ってきてね。」
「うん。がんばる。」
「で、佐藤はかわいそうだけど、どうしようもないもんね。」
「美桜の思い違いじゃない?」
「結莉、鈍すぎるよ…。
両思いの男の子と 5年以上すれ違ってたのも納得だよ。
彼氏に同情すら感じるよ…。
クラスの皆はだいたい佐藤の気持ちは知ってるから。
あと、うちのクラスだけじゃなくて、他にもいるからね。
面倒なことになる前に、彼氏できて良かったのかもよ。」
本当に意外だった。
中学の時は、その 男子 を好きな 女子 が先に牽制してきたから、
〝仲良くしてはいけない男子〟
はすぐにわかった。
でも、ここでは攻撃的な女子があまりいない。
だから自分へ向けられた 好意 もわからなかった。
「美桜…ありがとう。
私、今色々気付けたかも。」
「彼氏、今度会わせてよ‼すんごく見たい‼」
「なんか忙しそうだしなぁ。今度いつ会えるんだろ…」
「会う時間なんて作らないと。サッカーやってるイケメンなんて、学校でも他校でもモテるよー。」
美桜が言うことも最もだ。
氷上は実際モテる。
でも、どうしていいのかわからない。
毎日会いに行って、邪魔するわけにもいかないし。
毎日気持ちを確認するのもウザイだろう。
好きになられるのは止めようがない。
もし、氷上の心を射止める人が出てきたら
引けるかなぁ。
両思いの幸せを知ってしまった私は、どんどん欲張りになっていく。
幸せと不安は背中合わせなんだ。
「結莉!詳しく聞かせて‼」
美桜に、一昨日から昨日までの出来事を話すと、興奮気味に声を弾ませた。
「良かったねー。結莉、綺麗でモテるのに、全く男に興味なさそうだったから、何でだろうと思ってたんだよー。」
「いやいや。モテないよ。
好きな人に好きになってもらえたのは初めてだし。
初カレだし。」
「結莉、鈍いからなー。
というか、まわりのこと考えすぎるとこあるでしょ。
あえて見ないようにしてるとこもあるし。」
美桜の意外な言葉にびっくりした。
彼女の洞察力にも。
確かにまわりには気遣ってるつもりだ。
でも、
「鈍いの?私?」
美桜が少し顔を近づけて、
「にぶいよー。
だってさっき、佐藤が結莉に色々言ってたじゃない?あれって何でだと思う?」
あぁ。さっきの…
「機嫌が悪かったから…?」
「だ・か・ら 何で機嫌が悪いの?」
「…。朝から私が自慢話的なことを話したから、イラッとされたのかなぁ。
そうだよね。嫌だよね。私も嫌いだもん。自慢話。」
「ちがーう。
だから‼ 結莉は 鈍感なの。
誰がどう見ても、佐藤は 結莉に 彼氏が 出来たのが面白くないんだよ!
佐藤は結莉が好きなの。
本当に気付かないの?
アイツは特にバレバレだよ。」
佐藤君が?まだ入学して二ヶ月だし、男女仲のいいクラスだから喋るけど…そんな風に感じたことは1度もない。
「いや…そんなことないと…思う…あるの?」
「あるの。このクラスで結莉を狙ってたやつは多いけど、佐藤が一番本気っぽかったかよ。他を牽制してたし。」
「えっ?牽制?」
「郊外学習の班、佐藤と一緒じゃなかった?」
「一緒だった。けど、たまたま近くにいたグループ同士って感じだったよ。美桜も一緒だったよね。」
「たまたま近くにいるわけないじゃん!佐藤が友達連れてすぐ誘ってきたじゃん!だからすぐ決まったじゃん!」
「そうだった?私、美桜と一緒になれるかどうかばっかり考えてて‥‥」
「ゆうりーー。かわいい!抱きしめたい!でも鈍感!」
そう言って美桜は私の頬をぎゅっと手で挟んだ。
「校外学習でも、普通だったよね。むしろ美桜の方が男子といっぱいしゃべってたよね?美桜は誰とでも打ち解けれてすごいなーと思ってたもん。」
「ゆうり、私とばっかり話してたもんね。
男子は、ゆうりと話したいけど、ゆうりのガードがかたいから、私から崩そうとしてるんだよ。とりあえず友達と仲良くなって、情報聞き出す的な?」
「ないないないない。私の情報なんて、何にもないし。誰も興味ないよ。」
「ゆうり、本気で言ってるの?この偏差値高めの高校を主席で合格。加えて美人。塾ではいつもトップの成績で、入学式で見たときは、私だって驚いたんだから。まさかあの深瀬結莉が、美女だなんて!そして何より、性格がかわいい‥‥。」
「美桜は誉めすぎだよ。そんなたいした人じゃないよ私。」
「たいした人なんだって。だから彼氏いたことないって聞いたとき、うそだろーーって思ったもん。だから 誰とも付き合わないのかと思ってた。理想めっちゃ高いとか。」
「彼氏なんて、できないって。今でもドッキリだったらどうしよう‥‥って半分くらい思ってるもん。」
「ゆうりをドッキリでふる男なんて、いないでしょ。」
「私にはもったいないくらいの人で‥‥。」
「結莉にもったいないくらいの人って、いったいどんな人なのか気になるわーー。写真とか撮ってきてね。」
「うん。がんばる。」
「で、佐藤はかわいそうだけど、どうしようもないもんね。」
「美桜の思い違いじゃない?」
「結莉、鈍すぎるよ…。
両思いの男の子と 5年以上すれ違ってたのも納得だよ。
彼氏に同情すら感じるよ…。
クラスの皆はだいたい佐藤の気持ちは知ってるから。
あと、うちのクラスだけじゃなくて、他にもいるからね。
面倒なことになる前に、彼氏できて良かったのかもよ。」
本当に意外だった。
中学の時は、その 男子 を好きな 女子 が先に牽制してきたから、
〝仲良くしてはいけない男子〟
はすぐにわかった。
でも、ここでは攻撃的な女子があまりいない。
だから自分へ向けられた 好意 もわからなかった。
「美桜…ありがとう。
私、今色々気付けたかも。」
「彼氏、今度会わせてよ‼すんごく見たい‼」
「なんか忙しそうだしなぁ。今度いつ会えるんだろ…」
「会う時間なんて作らないと。サッカーやってるイケメンなんて、学校でも他校でもモテるよー。」
美桜が言うことも最もだ。
氷上は実際モテる。
でも、どうしていいのかわからない。
毎日会いに行って、邪魔するわけにもいかないし。
毎日気持ちを確認するのもウザイだろう。
好きになられるのは止めようがない。
もし、氷上の心を射止める人が出てきたら
引けるかなぁ。
両思いの幸せを知ってしまった私は、どんどん欲張りになっていく。
幸せと不安は背中合わせなんだ。