さっきの出来事から推測されることが3つある。

氷上は深瀬が好きなのではないか

深瀬も氷上を好きなのではないか

深瀬はそれを他人には知られたくないので、クラスメイトのいるところでは氷上と話さないようにしているのではないか。


最近、深瀬と話しているのは僕ぐらいだったので、すごく距離が縮まった気がしていた。

男子で一番深瀬を詳しく知っているんじゃないか。

一番興味を持ってもらえてるんじゃないか。

とさえ思いはじめていた。

違うんだ。違うんだ…

僕と話すのは、ただ…

僕のことを好きな女子がいないからだ。

誰にも嫉妬されないからだ。

たまたま塾が同じで、勉強が得意というカテゴリーの中に入ってるやつだったからだ。

浮かれていた自分が恥ずかしくなった。

やっぱり僕みたいなやつは氷上みたいなやつに勝てないんだ。

今までのように誰にも興味をもたなければ、こんな気持ちを知らなくても良かったのに…

深瀬のことなどもう気にしなければいい…

そう思い込もうとしたが、

できなかった。

いつの間にか深瀬を目で追い、

声を聞くだけで高鳴る胸は、

抑えようがなかった。