6年の始業式。

体育館に集合させられクラス分けを聞く。

ほとんどのやつらがソワソワしてテンション高めだが、僕はまだ1年もあるのか…と憂鬱な気分だった。

先生から配られたクラス分けの名簿表を見て、そこらかしこで歓声があがっている。

また一緒で良かったね。
と手を取り合う女子達は、本当にお互いそう思っているのだろうか。

ようやく5組で自分の名前を見つけて、クラスメイトの顔ぶれを確認していると、びっくりして一瞬息が止まった。

26 深瀬結莉

同じ学校だったのか?

盲点だった。

いくらクラス数が多いといっても
6年間一緒の学校にいて、塾も同じで知らないなんてことがあるのか。

新しい担任の先生が、新しいクラスメイトの名前を呼んでいく。

深瀬結莉 いったいどんなやつだ。

今までの気付かなかったんだ。

きっと地味で暗いやつだろう。

ところが僕は目を疑った。

「 深瀬結莉 」

と名前を呼ばれて、手を挙げたのは、僕の想像と真逆の、とても綺麗な女の子だった。

胸の鼓動が早くなるのがわかる。

スラリと背が高く、白い。

色素が全体的に薄いが、ハーフのような派手な顔立ちではなく、美しい日本人形のようだった。

なぜ今まで知らなかったんだ。

この容姿で頭までいいなんて信じられない。

絶対ド近眼のメガネ女子で髪なんてボサボサだと思っていた。

自分がそうであるように。

疑問を払拭すべく、近くにいる知ってるやつに聞いてみた。

「あの深瀬ってやつ知ってる?」

いきなり話しかけた僕にびっくり顔のクラスメイトは、意外に詳しく教えてくれた。

「あぁ。深瀬は確か4年の時引っ越してきたんだよ。そんなに遠くないとこから。
一緒のクラスになるのは初めてだけど、転校してきた時は、可愛い子が入ってきたって 噂になってたよ。
なんか頭もいいらしいよ。」

だからか。

土地柄、転入転出が非常に多い。

今日も転入生徒の紹介でだいぶ時間がかかった。

20人以上いた。

ふと、深瀬も僕のことを名前だけでも知っているんではないかと思った。

深瀬だってあの成績上位者表を確認しているはずだ。

先生に引率され、新しいクラスに行く途中、今まで感じたことのない高揚感があった。