見慣れた駅までの道を こんな全力疾走したのは初めてだ。
サッカーで鍛えた足で全力疾走する俺に、道行く人達が振り返った。
休まずカラオケのビルまで来た。
ビルに入ってエレベーター前の踊り場で急いで電話した。
すぐに通話がつながり、俺は勢いよく話し出した。
「大丈夫?今Jカラ来たけど、トイレ?何階?」
「うん。5階」
小さな深瀬の声に不安が募る。
すぐにエレベーターに入り5のボタンを連打した。
扉が閉まるのを、こんなに長く感じるのは初めてだった。
5階でエレベーターが開くと、
深瀬が泣きそうな顔で立っていた。
俺は深瀬の腕を引き寄せ、エレベーターの中に引き込んだ。
この数ヶ月で更に綺麗になっていた。
久しぶりに見るその美しさに一瞬見とれた。
さっきまでずっと考えていたせいか、実物に会って急に照れた。
顔がまともに見れない。
よくわからないやつに、こんな綺麗な私服姿を見せたかと思うと無性に腹が立ってきた。
「何やってんだよ!」
走ってきた勢いと、知らない男に手を握られたというイライラから、思いがけず、強めの言葉が出た。
「ごめん。」
深瀬がうつむいたまま、小さな声であやまった。
とりあえず無事そうな様子に気が抜けてその場にしゃがみこんだ。
「はぁぁぁぁ。無事で良かった。」
「本当にごめんなさい。ありがとう。」
小さな声で深瀬がまた謝った。
エレベーターはすぐ1階に着いた。
こんな場所から早く深瀬を連れ出したくて、勢いのまま深瀬の手をとり、ビルの外に出た。
「あの…本当にごめんね。電話…氷上しか思い付かなくって…晩御飯の途中とかじゃなかった?ごめんね。久しぶりだよね…話すの。」
俺しか思い付かなかった?
それってどういう意味?
淡い期待を抱いた。
「本当に電話に出れて良かったよ!
俺が電話に気づかなかったら…あぁ!何危ないことやってんだよ!」
深瀬が知らな男とカラオケに来ていたという事実に嫉妬し、また強く言ってしまった。
彼氏でもないのに…かっこわるいな俺。
深瀬を見ると、綺麗な目に涙をいっぱためて俺を見ている。
ヤバイ…泣かせた。
久しぶりに会えたっていうのに何やってんだ…。
深瀬の目から涙がポロポロとこぼれ、うつむきながら話始めた。
「だって…知らなかったんだもん…。
里桜と愛良と3人で遊ぶって聞いてたもん…。里桜が無理矢理私に彼氏作ろうとしてて…帰れる雰囲気じゃなかったもん…。」
あぁ。松田に騙されたのか。
松田のやりそうなことだ。
ー松田里桜ー
あいつは小学生のころから知っている。
自分が一番じゃないと許せないやつ。
でも一番になれないから他を落とす。
好き嫌いが激しくて、裏表があるから俺は苦手。
なんで深瀬がいつまでも友達なのか疑問だった。
松田が深瀬を騙してまで合コンするってことは…
深瀬が邪魔なんだな。
松田の好きなやつが、深瀬を好きなんだろう。
どうせ仲村あたり。
「無理矢理彼氏って…深瀬なら彼氏なんていくらでもできるんじゃないの?
なんかそういう噂とかあったし」
中学時代の色んな噂話を思い出し、嫉妬していた。
俺が知ってるだけでも 深瀬を好きなやつは、両手で足りないくらいだ。
俺の知らない数年間に深瀬に彼氏がいたって、何ら不思議ではない。
むしろこんなに魅力的な子に 彼氏がいない方が不自然だ。
深瀬に告白されて断るやつなんているはずがない。
うちの中学には それらしいやつはいなかっただけの話だ。
「彼氏なんていたこともないよ…。でも私に彼氏がいないと里桜的に都合が悪いみたいで…」
一瞬 耳を疑った。
彼氏…いたことない。
そう聞こえた。本当に?
神様が俺に最後のチャンスをくれている。
絶対これが最後のチャンスだ。
立ち止まり、深瀬の目を見つめた。
「じゃあ俺と付き合ってよ。」
びっくりした深瀬がこちらを見ていた。
つないだ手を強く握りしめた。
サッカーで鍛えた足で全力疾走する俺に、道行く人達が振り返った。
休まずカラオケのビルまで来た。
ビルに入ってエレベーター前の踊り場で急いで電話した。
すぐに通話がつながり、俺は勢いよく話し出した。
「大丈夫?今Jカラ来たけど、トイレ?何階?」
「うん。5階」
小さな深瀬の声に不安が募る。
すぐにエレベーターに入り5のボタンを連打した。
扉が閉まるのを、こんなに長く感じるのは初めてだった。
5階でエレベーターが開くと、
深瀬が泣きそうな顔で立っていた。
俺は深瀬の腕を引き寄せ、エレベーターの中に引き込んだ。
この数ヶ月で更に綺麗になっていた。
久しぶりに見るその美しさに一瞬見とれた。
さっきまでずっと考えていたせいか、実物に会って急に照れた。
顔がまともに見れない。
よくわからないやつに、こんな綺麗な私服姿を見せたかと思うと無性に腹が立ってきた。
「何やってんだよ!」
走ってきた勢いと、知らない男に手を握られたというイライラから、思いがけず、強めの言葉が出た。
「ごめん。」
深瀬がうつむいたまま、小さな声であやまった。
とりあえず無事そうな様子に気が抜けてその場にしゃがみこんだ。
「はぁぁぁぁ。無事で良かった。」
「本当にごめんなさい。ありがとう。」
小さな声で深瀬がまた謝った。
エレベーターはすぐ1階に着いた。
こんな場所から早く深瀬を連れ出したくて、勢いのまま深瀬の手をとり、ビルの外に出た。
「あの…本当にごめんね。電話…氷上しか思い付かなくって…晩御飯の途中とかじゃなかった?ごめんね。久しぶりだよね…話すの。」
俺しか思い付かなかった?
それってどういう意味?
淡い期待を抱いた。
「本当に電話に出れて良かったよ!
俺が電話に気づかなかったら…あぁ!何危ないことやってんだよ!」
深瀬が知らな男とカラオケに来ていたという事実に嫉妬し、また強く言ってしまった。
彼氏でもないのに…かっこわるいな俺。
深瀬を見ると、綺麗な目に涙をいっぱためて俺を見ている。
ヤバイ…泣かせた。
久しぶりに会えたっていうのに何やってんだ…。
深瀬の目から涙がポロポロとこぼれ、うつむきながら話始めた。
「だって…知らなかったんだもん…。
里桜と愛良と3人で遊ぶって聞いてたもん…。里桜が無理矢理私に彼氏作ろうとしてて…帰れる雰囲気じゃなかったもん…。」
あぁ。松田に騙されたのか。
松田のやりそうなことだ。
ー松田里桜ー
あいつは小学生のころから知っている。
自分が一番じゃないと許せないやつ。
でも一番になれないから他を落とす。
好き嫌いが激しくて、裏表があるから俺は苦手。
なんで深瀬がいつまでも友達なのか疑問だった。
松田が深瀬を騙してまで合コンするってことは…
深瀬が邪魔なんだな。
松田の好きなやつが、深瀬を好きなんだろう。
どうせ仲村あたり。
「無理矢理彼氏って…深瀬なら彼氏なんていくらでもできるんじゃないの?
なんかそういう噂とかあったし」
中学時代の色んな噂話を思い出し、嫉妬していた。
俺が知ってるだけでも 深瀬を好きなやつは、両手で足りないくらいだ。
俺の知らない数年間に深瀬に彼氏がいたって、何ら不思議ではない。
むしろこんなに魅力的な子に 彼氏がいない方が不自然だ。
深瀬に告白されて断るやつなんているはずがない。
うちの中学には それらしいやつはいなかっただけの話だ。
「彼氏なんていたこともないよ…。でも私に彼氏がいないと里桜的に都合が悪いみたいで…」
一瞬 耳を疑った。
彼氏…いたことない。
そう聞こえた。本当に?
神様が俺に最後のチャンスをくれている。
絶対これが最後のチャンスだ。
立ち止まり、深瀬の目を見つめた。
「じゃあ俺と付き合ってよ。」
びっくりした深瀬がこちらを見ていた。
つないだ手を強く握りしめた。