「だめだ。わかんない」
初めて使う高校の女子更衣室。
私は春の隣に立ち、そう呟きながらシャツのボタンを外していく。
「もぉー、玲花!!さっきからうるさいよ」
春は頬をふくらまして私の顔をのぞきこむ。
「ご、ごめん春。でも、わかんなくて…」
「それは恋なんだって!何回言ったらわかるの?」
体育館シューズを手に二人で体育館に向かう。
「ち、ちがうっ!!恋なんかじゃ…っ」
春にそう言い返した時、優雅君と目が合ってしまってドキッとした。
おもわず顔をそらす。
「ギャハハ!お前バカじゃん?」
「雷太に馬鹿とか言われたくねーし」
雷太君を含めた五人組でケラケラと笑いあっている。
体操服姿もかっこいいな…なんて、思ってしまう。
「はぁ〜。雷太くんかっこいいなぁ。今日はバスケだよね?ラッキー♪ガン見しとこー!!」
春は上機嫌で歩き出した。
「あ!ねぇ!春!」
「んー?」
「あのさ、晃介さんのタイプの女性とか教えてほしーんだけど」
私の言葉に春は意味がわからないと言った表情だ。
「お兄ちゃんの?なんで?」
「秘密にしててね?お姉ちゃんが、晃介さんの事好きらしいんだ」
そう言った瞬間、春はきゃー!っと叫んだ。
「ちょ…っ春?!あんたバカなんじゃ…っ」
春のせーでみんながこっちを見てる。
もちろん優雅君も。
「超うれしいよ!!任せて!!」
そう言った春は本当に嬉しそうで、私も嬉しかった。