「優雅〜!おはよっ!」
ふわっと長い髪を揺らして、誰かが優雅君に抱きついた。
可愛い声が響く。
優雅君は抱きつかれたままその子に笑った。
「はよ。沙也加」
沙也加と呼ばれる女の子はとても可愛い子だった。大きくくりくりした目が特徴的だった。
「優雅、寝癖ついてるよ〜?」
細く白く、綺麗な指が優雅君の髪にそっと触れる。
モヤッとした。
「あー、今日寝坊したんだよ」
「また遅くまでゲームでもしてたんでしょ?」
あははって笑い合う二人。とてもお似合いだ。
こーゆーのを美男美女ってゆーのかな。
でも…っ。
「ね〜、優雅。こないだねー…」
触らないでほしい。優雅君に。
モヤモヤして、胸がうるさい。
「じゃあまた後でね!優雅」
その子は優雅君に可愛い笑顔を残して去って行った。
また後でって、さっきみたいに?
やだ、考えるだけでいやだ。
「今の子は?」
「ん?あー、沙也加?あいつは小学校の頃からの幼馴染みだよ」
幼馴染み。あの子はきっと優雅君の事が好きなんだろうな。
あれ、でも何で。私、嫌だったんだろう。
私は大吾が好きで、そう。優雅君は…好きじゃないはずなのに。