日が暮れていくと共に王国では雨が降り始めた。その雨はあっという間に強くなり、嵐になった。

この王国の最大の特徴と言っても過言ではないくらいの特徴は、城が三分割されていることだ。

一番右、ディラン家のヴァルメリオ城。
中央にこの王国の象徴アマレロ城。
一番左がホープ家のアズ城。

城と城の間には渡り廊下と地下通路があり、見かけは一つの城のようである。

それぞれの城壁には王家の象徴である赤、黄、青の薔薇が描かれている。


日付が変わる二時間前。
人々が寝静まった夜。雷が落ちるような音でガレスは目覚めた。


「なに…?」


ベッドから起き上がり外の様子を見るガレス。
嵐で外は何も見えない。


「シャルロ」

「…」

「シャルロ!」

「…んん??」

「ねぇ起きて。変な音がしたんだ」

「なぁに?雷じゃないの?」

「違うんだ。何かが崩れるような感じの音がだったんだ」

「じゃあ隣の森で木が倒れたんじゃない?」

「そうかなぁ…」


ガレスはベッドに戻る。


「怖いなら私が手繋いでてあげようか??」

「怖くねぇし!」

「嘘だぁー」


シャルロがガレスをくすぐろうとすると、部屋の扉が勢いよく開く。


「ガレス!シャルロ!」

「キャサリンお姉様?」


キャサリンは血相を変えて息を切らしている。その後には両親がいた。


「二人共早く逃げるわよ!」

「どういうこと?お姉様何があったの?」

「とにかく急いで!!」


言われるまま、ガレスとシャルロはベッドから出て廊下に出た。
すると廊下には煙が充満しかけ、アマレロ城の方には炎も見えた。
やっと状況を理解した二人は両親の後を追って走り出した。