ミリーとシャルロを呼ぶメイドとガレスの声が森に響く。


「ミリーお坊ちゃまー!シャルロお嬢様ー!」

「ミリー!シャルロー!」

「ほんとどこ行っちゃったのよ」

「ガレスお坊ちゃま。クロエお嬢様。申し訳ございません。私が少し目を離した隙に…」

「別にいいけどメイドなんだからしっかりしてよね」

「はい…。」

「まぁクロエったらイライラしないでよー。ほら呼べばくるかもよ?ミリー!シャルロー!!」


ガレスの声が森に消えていく。


「ミリーお坊ちゃまー!シャルロお嬢様ー!」

「ミリー!シャルロー!」

「狼に襲われていたりしたらどうしましょう。このまま見つからなかったら私、御主人様に殺されてしまう」

「大丈夫だよ!僕が守ってあげる!」

「そんな。ガレスお坊ちゃま…」

「でも僕まだミリーとシャルロと遊びたいから探す!ミリー!シャルロー!」


やはりガレスの声だけが響き、消えていく。


「ダメかぁ…」

「はぁ」


落ち込んでいるガレスとメイドの前にある切り株の上ににクロエがだるそうに登る。長いスカートが引っかからないよう右手でスカートを少し持ちながら、


「ミリー!シャルロー!持ってきたおやつ食べちゃうわよー!!」


クロエの声が森に響き、消えていく。
すると三人の後ろから足音が聞こえてくる。


「来たわよ」

「すげぇー」

「助かりました!クロエお嬢様!」


ミリーとシャルロが息を切らして走ってくる。


「クロエ!おやつ独り占めはズルいぞ!」

「そうよ!私のチョコレート取らないで!」

「嘘に決まってるじゃない。引っかかるなんてあんた達まだお子ちゃまね」

「なんだとー!!!」

「まぁまぁ落ち着いてくださいミリーお坊ちゃま、シャルロお嬢様」

「二人共探したんだよー?僕、ミリー!シャルロー!って」

「やめろよ、恥ずかしいだろ!」

「だって二人共出てこないんだもん」

「あぁー!鳥さん!」


シャルロが目の前を通り過ぎた赤い目の鳥を追いかけ走り始める。


「お待ちください!お嬢様!!!」

「ほんと馬鹿なのかしら」


メイドとクロエが追いかけていく。
ガレスは少し落ち込んだまま、指をいじっている。ミリーは浅くため息を吐いた。


「ガレス。行くぞ!」


そう言ってミリーの手を取り、彼らも森の中に消えて行った。