「優樹くん、ありがとう。もう大丈夫よ。」

私はそう言って体を起こした。

優樹くんは少し不思議そうな顔をしている。それもそうだ。しばらく私は婚約者について考えていたのだから。

私は彼を安心させるように笑顔を作って見せた。

「本当に大丈夫か?何なら送っていくぞ」

「いいえ、結構よ。気持ちだけで十分だわ。迎えを来させるから気にしないで。」



「迎え?お前もどっかの令嬢かなんかか??」



私はその質問には答えず静かに微笑みそして電話をかけた。



「学校よ。帰るわ」

そう言って電話を切ると私は帰る支度をした。


不思議そうにしている優樹くんをひとり、保健室に残して。