「ねぇ、あの木の下にこの手紙を埋めておくから、7年たった春のこの日に掘ってみて」そう言って見知らぬ女の子は僕に微笑んだ。




春が来る。7年たった春。時々忘れそうになっていたけど、覚えていた。あの時僕はたしか10歳くらいで、多分あの子も同い年だった気がする。不確定な記憶に少し不安を覚えたが、ワクワクの方が大きかった。何故、あの子は僕にそんなことを言ったのか。ずっと気になっていた事が明かされる。僕は学校の帰り自転車を漕いであの公園にやって来た。この公園に来るのはあの日以来か。家から遠くにあるので、あの日何故この公園にいたんだろう?と少し疑問に感じた。「確かあの建物の隣りのーーー。」その木に目をやると、木の隣に誰かいることに気がついた。
「こんにちは」
彼女は少し微笑んであいさつをしてきた。
「こんにちは、、、」
誰だろう、黒のショートヘアーで厚手のパーカーを羽織りショートパンツをはいている。綺麗な顔立ちだ。
「私、横山咲希っていうんだけど私の事知ってる?朝丘ミントくん。」
僕の名前だ。けど、知らない人にいきなり呼ばれると聞いたことのない名前に聞こえる。不思議だ。
「え、、、すみません。横山さん?のこと僕は知らないです。」
「そっか、そうだよね。」
彼女はショックを受ける訳でもなく、納得して頷いた。
「この公園になにか用があるんでしょ?厳密に言えばこの桜の木の下に。」ビックリだ。当たっている。
「なんでその事を、、、?」もしかして手紙を埋めたのはこの横山咲希さんなのか?