眼鏡越しの瞳と目があった。

彼は優しく微笑むと、
「あなたが僕のことを思い出してくれてよかったです」

優しいテナーの声で言った。

「店長…」

そう呼んだ私を藤岡さんは見つめた。

心臓がドキドキと、うるさいくらいに鳴っている。

「――私…」

ドキドキとうるさい心臓を隠すように、私は唇を開いた。

「――あなたのことを好きになりました…」

そう言った私に、藤岡さんは驚いたと言うように眼鏡越しの目を見開いた。

「あなたが好きです。

あなたそのものにひかれました」

藤岡さんはいつくしむように目を細めると、
「僕の名前を知っていますよね?

名前で呼んでください」
と、言った。