「あなたは特に抵抗することなく、僕の唇を受け入れていました。

僕は今すぐにでもあなたを自分のものにしたいと思って、あなたを連れてバーを後にしてホテルへと向かいました」

婚約破棄されたその翌日に目を覚ました時、自分が見知らぬ部屋の見知らぬベッドにいたのはこの出来事のせいだったのか。

「でもあなたはベッドのうえで横になった瞬間、すぐに眠ってしまったんです」

藤岡さんが言ったので、
「は、はい…?」

私はどう返事を返せばいいのかわからなかった。

「酔っていたから仕方ありませんね」

「あ、あはは…」

もう穴があったら入りたいです…。

「さすがに眠っている女性を犯す訳にはいかないので――それ以前に、酔っている女性をホテルに連れ込んだ時点でもうアウトなんですけどね――、その日は添い寝だけと言うことで僕も横になりました」

藤岡さんが言った。