「婚約破棄された私がどんな気持ちで過ごしていたか、あなたはわかっているの!?」

「わかっているさ、自分も経験したから」

「浮気されたうえに子供を理由にして捨てられたこのつらさ、あなたは理解しているの!?」

「わかっている、わかっているから…」

「わかっているんだったら、私の前に現れないでよ!」

まくし立てるように怒鳴った後、私は彼の背中を見せた。

「あっ、桃葉…!」

和明が私を呼び止めようとしたけれど、無視して走ってマンションへと駆け込んだ。

何なのよ…!

今さら何なのよ…!

自分勝手な理由で別れたくせに、自分勝手な理由でヨリを戻そうとしている彼に腹が立った。

あんなヤツ、死んでも絶対に許すもんか!