ゆずはテニスコートを指さした。

「えっ何、何!?」

えりかはゆずがさしたした指の方を見つめた。

「あれー!勇気ぃー!おーい!」

勇気っていうのはゆずの彼氏。

サッカー部に所属してて、学校1番のイケメン。

ファンクラブができたって聞いたこともあったっけ。

だから学校1の美女とイケメンが付き合ってるって事。

一番有名なカップルなんだ。

「ん?勇気君いたの?…ちょっと!ゆずー!聞いてんの?」

えりかがゆずの肩をぽんぽんっと叩いてもゆずはぴくともしなかった。

「ちょっとー?」

「…な…ん、で…?」

ゆずの目を見るとすごく悲しい目をしていた。

いつもの澄んだ瞳じゃなかった。

「ちょっ、え!?どうしたの!?なんかあったの?」

えっ…。ゆずいきなりどうしたの!?

ゆず…どこ見てんだろ…。

テニスコート…?

「…っ、」

ゆずはどこかへ走って行ってしまった。

「ちょっと!ゆず!?どこいくの!?ちょっ…」

引き止めようとしたけど、なぜか引き止めない方が良いような気がして、えりかはゆず
を追いかけなかった。