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「ばっかねぇ…」

リビングで締め出された理由を、しーちゃんに話すと艶っぽいため息とともに呆れられてしまった。

「だって…まさかあんなに怒るとは…って感じだよ。私」

「慎太郎は…ゲームに命かけてる…」

落ち込む私に、凛太郎くんが"やってしまったね"という目で見てくるのが痛ましい。双子だもんね。お互いの地雷も把握済みだろう。


「でも私間違ってなくない??みんなに心配かけたのに謝りもせずに、ゲームしてそれみんな怒るでしょ??」

「そうね。たしかにお怒りはごもっともよ。でも相手に寄り添わないと。それが貴女の得意分野なのに」


感情的になってしまった私にも非はある。そう諭すように、しーちゃんが私の肩をそっと叩いた。

その通り過ぎて、反論する言葉もない。


「完全に心の扉を閉められてしまったと思う。しばらく時間がいるかなぁ」

と呟いて、凛太郎くんを見つめると

「かなり難しいかも…」

と否定的な台詞をかけてきた。

「ど、どうして?」

「慎太郎…一回心閉ざしたらかなりしつこい…仲間意識が強い分…シャットアウトした相手には…ダメ」


珍しく沢山話した凛太郎くん。
だけどそれ以上に、慎太郎くんの性格をきいて最悪の危機に直面したことを思い知らされる。

そんなの一体どうすればいいんだろう。
このまま心を開かれなければ、アイドル活動に100%響いてしまうじゃないか。


「私が…謝らないとダメ?かな?」

めちゃくちゃ謝りたくないけど、せっかく頑張るって決めてくれた3人に申しわけが立たない。

謝って済むならそうした方がいい。
社長という立場ならこれも否めないと無理やり納得させた。


「…謝る必要ないだろ。」


すると意外な方向からそんな台詞が、飛び込んでくる。


「蓮斗さん!!」

いつ現れたっ!フェロモン男!!
先ほどまで、全く姿はなかったのに。
立っているだけでオーラがすごいのに気がつかなかった。


「やる気がないならやめさせればいいだろう。同じ顔が2人いるんだから」

「な!!その言い方は酷い!!」

「……じゃあどうすんだ。心優しい社長さんが」


またしても試すような顔して、不敵に微笑む蓮斗さん。というか一番の問題児はあんたなんだけど、、と言ってやりたい。


「…でもたしかに今回のことは慎ちゃんも悪いんだし、社長さんとしてペコペコするだけじゃいけないわね。」

謝って済まそうと心に決めたばかりなのに、しーちゃんがフェロモン男の言葉に同意してしまう事態。


「え!?じゃあどうするの?」

「んなこと自分で考えろ。それがお前の仕事だろ?」


蓮斗さんに突き放されてしまい心から"なんでやねん"状態になる。あんなあからさまに心に閉ざされて、謝らずしてどうしろっていうんだ。


「まぁ困ったらクビを切ればいい。あいつ1番才能ねぇからな」


クスッと笑って、酷いことを言い残し去っていった蓮斗さん。あの人…なんか慎太郎くんに冷たくない??