「あの…正直みなさんとてもかっこいいと思いますので、よそにうつって育ててもらった方がいいと思います。すぐにテレビに出れるんじゃ……」
正座をしながら思ったことを伝えたら、俊輔さんが口を開いた。
「僕達は、由乃さんと約束したんだ。この事務所でトップに上り詰めるって。それが遺言だったからいまさら、他のところに移る気なんてなくて…」
「そうそう!由乃ちゃんは、色々抱えてる俺たちを迷いなく拾ってくれたんだよ!!」
すかさず健吾さんが入ってくる。
……なんなの。
みんなお母さんに愛されてたの?
私だけ?こんな扱いを受けてるのは。
「……心優ちゃん……僕達からもお願いします」
「……断られたら死ぬしかない……よ」
双子の凛太朗くんなんか脅しにかかってきたしっ!!
「……いや、わ、私そういう知識もないしさ……」
「もういい。やめだ」
どういう方向で断ろうと考えていたら、蓮斗さんが藪から棒にそう言った。
「…え、でも蓮…」
「見ろ。俊……こいつに由乃さんの代わりができると思うか?? 自信がないから断ってんだよ。」
「な、!!」
「だってそうだろ、確かに由乃さんはこいつにとって恨むべき存在かもしれないけど、あの人には確かにカリスマ性があったし、それを超えられないって自覚してんだよ。どっかで。人としても負けてる」
なんなんだ……こいつ情緒不安定なの??
しかし、その言葉はものすごく引っかかる
「子供を捨てて、好き勝手やってた母親が人としてできてるなんて頭おかしいんじゃない!!!」
「……あの人はお前のこと忘れたことねぇよ。俺らもよく写真見せてもらった。罪滅ぼしのために親に見放された同然の俺達を大切にしてんだよ…」
なによ……それ
いまさらそんなこと言われたってこっちは……
「……どんなに頑張っても君を超えられないよ。僕達は」
俊輔さんの言葉に、胸がぎゅううと苦しくなる。
悔しい…こんな形で親の愛を知ったって嬉しくない。
大切に思ってたのなら、会いにこればよかったのに
そりゃ悪態はついただろうけど、許してあげれたかもしれないのに。
「どうか……由乃さんに君とやり直すチャンスをあげて。」
俊輔さんはそのまま頭を下げて、それを合図にみんなが一斉に頭を下げた。
……はぁ。
さすがにこれを断る心の狭さは持ち合わせてない。
「わかりました……。お受けします」
私ってほんと、お人好しかもしれない。