一瞬、心がグラッと揺れそうになったけれど母への怒りが私の中で勝った。



「…母の遺骨の前でいう言葉ではないかもしれないけど、自分勝手なクソ女に振り回されるのはうんざりよ!!!どいて!!!」



バッとフェロモン男を振り払い私は走り出す。



冗談じゃない。
私はいまの生活で満足しているし、いまさらこれを崩すつもりはない!!




とんだ遺書を残してくれたと私は心の底から母を恨んだ。おばあちゃん……貴女の娘は、いなくなっても相変わらずです…





******************




「ってことが今日あったの。」


「まじか……心優のお母さんってファンキーなんだな…」


「ファンキーどころじゃないよ。娘育てずに男5人育てようとしてるなんて、ほんと色恋ババアだわ」




その日の夜、彼氏の晃が家にやってきたので私は彼に愚痴り放題。


口の悪い私をいつも笑顔で受け入れてくれる彼に、私はいつも助けられている。




「まぁ……心優と母親の唯一の繋がりって考え方もあるし」


「いや繋がってなくていいし。むしろスッパリと縁が切れてほしいくらい」


「そういうなよ。親父さんも誰かわからないし、言わばたった1人の親だったんだろう?」


「私の親はずっとおばあちゃんだけよ。」



私がそう言い放ったあとしょんぼりとしたのを見て、ため息をついた彼は


「おいで。」


と両手を広げた



私は、怒りを鎮めて静かに彼の膝の上に。


「レポートとか実習で忙しそうなのにごめんね」


「いいよ。気にしないで……心優のしたいようにすればいいから」


トンと身体を預ければ幸せな気持ちに包まれる。


もし結婚して子供ができたら、私は素敵な家庭を築こう。きっとそれだけが母を見返すものではないのかと昔から思っていた。




……あの人たち……まぁ顔いいし……
他の大きな事務所に行けばいいのに。
期待してたみたいだしはっきり断ってしまったのは少し悪かったかな……。