まさか1日に2度も来ることになるとは思っていなかったが、不本意ながらあいつらの寮に着いた。


凛太朗くんから返事はないだろうけど、他の4人がいるといけないのでピンポーンとインターホンを鳴らす。


『あら小娘。何しに来たの?』


……おネェが出た……
一応鳴らして良かった。


「…凛太朗くんに用事があって……俊輔さん。開けてください」


『……そこで待ってて』


ガチャっと家のドアが開いたと同時に

ビクリと身体が震える。


「び、びっくりした…おばけかと」


「誰がおばけよっ!! パックはお肌を潤す基本でしょ」


「…そ、そうですか……」


そういえばパックなんて全然してないな…なんて女として反省しながら真っ白の顔の俊輔さんを見上げた。


「…それで凛ちゃんに何の用?」


「…いや頭が痛くて辛いっていうし、助けてとかくるから……。一応マネージャーだし心配で……」


私の言葉に彼は

え…と声を出すと少し間を置いてから

「……御愁傷様。すっかりロックオンされてるのね」

なんて呟いた。


表情がわからないから……ちょっと怖い



「どういう意味ですか?」


「別にー。勝手に上がって。私いまから半身浴タイムだから。」


ヒラリと手を上げて恐らく浴室に入った俊輔さんを見送った後、私は凛太朗くんの部屋へ。


コンコン


「凛太朗くん。心優です」


相変わらず返事をしない彼に、声だけかけてドアを開ける。



すると座って物悲しそうな顔をしながら、外を見つめる凛太朗くんが目に映った。



「……みゆちゃん」

「どう?熱はあった?」

「……枯葉が落ちる頃に死ねるかなぁ…」



窓の外を反射的に見てみたけど、木すらない。




「なにいってんの…大丈夫?」


頭いかれちゃってんのかな……。



ぼーっとしている彼のそばによって、おでこに手をやるけれど熱くない。



「熱ないと思うけど、計ってみようか……」


「…うん。ずっとお腹痛いもん…」


「え、頭じゃないの??」


私がそう言うと、凛太朗くんはハッとしたような顔をしたあと

すぐに何事もなかったように布団の中に潜り込んだ。



「……凛太朗くん」


「……熱出てきたかも」


「嘘ついたでしょ。」


「違うもん……ほんとにつらいもん」


「まぁいいよ。 病気よりマシ。一応薬は置いておくし、睡眠薬は預かるね。何か食べたの?」



これからってときに風邪を引かれるよりマシだと、諦めたようにそう質問すれば、恐る恐る布団から顔の半分だけでてくる。


「……食べてない」


この子を更生させるって決めたんだもんね。
身体のこともあるし、この嘘に付き合ってあげよう



「雑炊作るから待ってて。」




私のそのセリフでパアアと凛太朗くんは嬉しそうな顔をした。やっぱり笑顔は、最高に可愛い