******************
「……じゃあね。凛太朗くん。今日はもういいから、明日は絶対事務所においでよ。」
「……もう帰っちゃうの?」
「……いまからダンスの先生に話しに行かなきゃいけないの。そうでもしないと君含めみんななんにもしなさそうだし。」
結局、傷を消させてくれなかった凛太朗くんは、私におねだりして包帯まで巻かせてきた。これ以上面倒くさくなっても困るし、言うこと聞いておこうと今日は折れたけれど、この包帯だってなんとかしないと困る……
「……ねぇみゆちゃん。ReinのID教えて……」
目線をメンヘラの左手首にやって、考え事をしていたら、彼はおずおずとスマホを取り出した。そして上目遣いでそんなことを言ってくる。
本当なら晃以外の男の人とは交換しないのだけど、5人に関してはそういうわけにはいかない。それに連絡が取れた方が好都合だ。
「…うん。いいよ!」
私のその言葉を聞いた途端
えへへと可愛い笑顔を見せた凛太朗くんは、すぐさま嬉しそうに私を登録していた。
「それじゃあまたね」
手を振って大きな家を出て、次の場所まで歩き出す。
しかし彼と離れてわずか数分
ポケットで私のスマホが震える。
…ん?
取り出して画面を見ると相手は凛太朗くんで
みゆちゃん
ねぇねぇ
みゆちゃーん
と三回ほど呼ばれていた。
……ついさっきさよならしたばっかりなんだけど。
しかも小さくなってはいるけど、まだ家も見えるし。
仕方なくスライドして画面を開き
どうしたの?
なんて送り返し、また歩き出す。
するとすぐさま画面に出てきたおしらせ。
送ってみたかっただけだよ
なんだ……凛太朗くんって可愛いところあるんだな。
とりあえず未読スルーしておいて、後でゆっくり返そうとポケットに再びしまいこんだ。
駅まで歩き電車に揺られて、母の知り合いのダンスの先生のところへ。話をすると元々母と5人をみる約束をしていたようで、上手い具合に進んでいった。
歌のレッスンの先生は明日でもいいかな……
ああ…1からだとやることが多すぎる。
あの4人は今日事務所で何してたんだろう……放っておいて大丈夫だったのかしら。
……まぁあの様子じゃいままでもあそこ使ってたっぽいし、みんないい歳した大人だしいいか。
なんだかドッと疲れていたので今日は帰ることにした。
家に着いて、思いっきりダイブしベッドに転がる
……そう言えば凛太朗くんに返事しなくちゃ……
他の4人の状況も彼に聞いてみようかな……
そう思って、電車に乗るときにサイレントモードにしたスマホを取り出す。
そこで……驚愕した。
「……は……なにこれ」
100件近くの……Reinのおしらせ?