私たちのクラスは、1か月経つと席替えをする。だから、その4人で過ごしたのはたったの1か月だった。なのに、その1か月で、私は変わってしまった。

気付いたのは、その席から席替えをして1週間ほど経ってからだった。隣になった子は優しいし、それなりに充実していたはずなのに、時折、わけもなく寂しくなる時があった。

それは、前の席だったらこうだったのにな、と思うときだった。みんなが盛り上がっていて付いていけないときは結弦君がいたし、分からない問題にぶつかっても、結弦君がいてくれた。
だから、不安にならなかったのに。

今、もうここには、結弦君はいない。

その事実を知ったとき、私は哀しくて、前の席に戻りたかった。前みたいに、彼と笑い合いたかった。もっとたくさん話しておけば良かった。そんな後悔が、荒波のように押し寄せてきた。

ーー『好き。』ーー

ただそのふた文字に気づくのが、あまりに遅すぎた。気付いたときには、もうチャンスは通り過ぎていた。

チャンスの神様には、前髪しかないから、素早く掴まなければならないと、よく言う。
私はただ、走り抜けて行ったチャンスの神様の後ろ姿を、ぼうぜんとみつめているだけだった。