「なんでそんなに弱気なんだよ。話せないって言っても、LINEくらいは出来るんだろ?だったらいいじゃんか。
俺なんて、相手に好きな奴がいるんだからなー。完璧、玉砕だよ。」

玉砕、か・・・。



「わ、私、はさ・・・、玉砕なんて、したくないよ。だって、今のままで幸せだもん。」



そう言うと、彼はさっきまでの軽い雰囲気とは打って変わって真面目な顔になった。
思いついた言葉を、ぽんぽんと口に出す彼らしくない。


「そりゃ、俺もそう思うけどな。」

まさかの納得?と思い、そうでしょ、と言おうとすると、彼は絞り出すように声を出した。


「でもさ・・・、今のままで終わらせたくないとも、思ってるよ。俺は。」

その言葉に、私は瞬きも忘れて、彼の澄んだ瞳の奥を、だまって見つめた。