さっそく、教室に入ると、愛希を探した。

すると、誰かの席で、必死にシャーペンを動かす彼を見つけた。近寄って、後ろから覗きこむと、どうやら、誰かのノートを書き写しているようだった。

「課題やってないのー?」

耳元で声を出すと、彼はわざとらしく仰け反り返った。

「うーわ!マジでびびったー!化け物かと思ったわー!」

「酷!愛希こそ、ぬりかべみたいな顔してるじゃん。」

「なにー?!この整った顔のどこがぬりかべなんだよ!モデルみたいな顔、だろ?」

彼は手で銃を作り、それをあごにあててドヤ顔をした。ほんとにばかだね。

「それよりさ、聞きたいことがあるんだよ。」

「何だよ?」

彼は再び、シャーペンを動かし始める。



「好きな人って誰?」