その時、木琴を叩いたような、軽やかな音がした。
それが、LINEの届いた音だとわかるのに、少し時間がかかった。

あわてて画面をみると、送り主は、


『愛希:お〜い、つきか〜』


はぁぁっと、大きなため息が出る。

なんだぁ・・・、愛希かぁ。

私は、うなだれたまま、彼の言葉をタップする。

『なに?』

『生きてるかなと思ってー』

はぁっ?ばかにしてるの?
愛希がいつもばかなのは知ってるのに、なんだか今日は、いつもに増して苛々する。

『生きてますー。』
『あいきこそ生きてるの?』

『俺は、もう死んだわ』

『テストの点数が?』

『そーそー!』
『って、何で分かるんだよ!笑笑』

ふっと、思わず画面を見らがら笑ってしまう。

愛希とのLINEは楽しい。
緊張しないし、こんなこと言ったら嫌われるかな、とか考えなくてもいいし。
話すことだって、わざわざ考えなくても、ポンポン出てくるし。

『そんで、』
『具合、大丈夫か?』

ドキッとした。
まさに私が言われたかった言葉。
・・・・・・結弦君に、だけど。

『うん、大丈夫〜』
『明日は学校行けるよー』

『よかった』

なんだか、今日の愛希は優しいな。
風邪をひくと優しいなら、毎日風邪ひこうかな。いやでも、風邪ひいてたら、学校行けないなぁ。
そしたら、結弦君にも、会えないなぁ。