その日、家に帰ると、すぐにスマホを開いた。LINEを開いてスクロールすると、彼の名前が見つかる。タップすると、昨日のやり取りが映し出された。

やっぱり、よろしくって言っただけじゃ、何も変わってないよね・・・。せっかく追加してくれたのに、これじゃあ意味がない。

私は今日分の勇気を振り絞って、文字を入力した。何度もためらったあと、ようやく送信ボタンを押す。画面に、先ほど打った言葉が表示された。

『いきなりだけど、』
『最近ハマっているものとかある??』

返信は、きっとずっと来ないだろうと思っていたが、すぐにLINEが届いた音がした。

『いきなりだね笑』

そしてその下に、今人気が出てきているバンド名が書いてあり、これが好きだと書いてあった。偶然にも、私も大好きなバンドだった。

さっそく共通の話題が見つかった!

『本当に?私も好きだよ〜!』

あの彼が読むのだと思うと、何でもない文章を打つことさえ緊張してしまう。

『おお!』
『バンドのボーカルが出てるドラマとか、見てたりしない?笑』

『見てるよ〜!』
『月曜日にやってるドラマだよね?』

『そうそう!』
『面白いよね〜』

凄く嬉しかった。
そのバンドが好きで、あのドラマを見ていて、本当に良かったと思った。そして、あの頃のように、普通に話せていることが幸せだった。