そんな私の悲しみも知らずに、彼女は目をきらきら光らせて、私を見つめてくる。

「それで、それで??そのあと、何か話したの?」

「ううん・・・。なんも。よろしくねって言っただけだけど。」

そうかぶりを振ると、彼女は飛びかかってきそうな勢いで言い返した。

「何してんの!そっからが大事なんじゃん!何でも良いから、会話を続けるんだよ!」

「・・・ぇ、でも、何を話したらいいのか・・・。」

「何でもいいんだよ。学校のこととか、今日あったこととか。それか、何か質問してみるとかね。」

「質問??」

私が首をかしげると、きーちゃんは、空いている前の席に、ためらいなく座った。

そして、小さく深呼吸をしてから、まるで赤ちゃんを診察するお医者さんのように、私の目を見て、優しい口調で話し出した。

「そう、例えば・・・。好きなテレビとかあるー?みたいな感じかな。いくつか聞いていけば、必ずお互いが楽しめる話題が見つかるから!」

「そうなのかなぁ。それは、お互いの共通点ってこと?」

「そうそう!どんな小さなことでもいいの。お互い、好きなアーティストが違くても、好きな曲が同じ、とかね!それだけでも嬉しいでしょ?」

「・・・うん。」

ふたりの好きなこと、好きなものが重なった瞬間を想像して、何故か口角が上がってしまう。そうなったらいいなぁ。

そうすれば、今より少し、彼との距離が近くなるだろうか。

今より少し、私に興味を持ってくれるだろうか。