いつもより早く家に帰って、スマホを手に取った。いつもは、宿題が終わるまで触らないようにしているのだが、今日はそんなことはしていられない。

クラスのグループLINEを開いて、スクロールしていくと、彼、結弦君のアカウントが見つかった。先ほどまで、あんなに急いでいたのに、急に指先が止まってしまう。本当に追加していいのだろうか、という気持ちが、今更ながらに湧いてきて、彼のアカウントに触れることをためらわせる。

数分悩んだあと、ほとんど勢いで彼の追加ボタンを押した。

たかが、LINEだ。彼が今、目の前にいるわけでもないのだから、緊張する理由なんてない。
そう自分に言い聞かせて、トークに一言、こう打った。

『葉桜月影です』
『よろしくね(^_^)☆』

そして、既読がつくことを、ひたすら願った。