『じゃあ、愛希が教えてくれたら教える』
『かも笑笑』

らちがあかないので、冗談半分でそう打つと、瞬殺で返事が返って来た。

『かも??』
『てか、俺の好きな人、そんなにしりたい?』

いやいや、これは私の好きな人を教えたくないから、ごまかしたくて聞いてるんだよ・・・。と、内心思ったが、そんなことを言えば、すぐさま立場が交代して、また好きな人誰?と、迫られるに決まっている。

なので、その質問にうなづくことにした。

『知りたい〜笑笑』
『教えてよ』

なのに、そこから急に返事が来なくなってしまった。
既読も付かず、ただ時計の針ばかりが進む。半乾きの髪を指に巻き付けたりしながら、しばらくは返事を待ったのだが、5分経っても、10分経っても返事は来ないままだった。

ひょっとして、今お風呂に入っているのかな、と考え始める。時刻は夜の11時を回ったところだが、入浴時間は人によって随分ちがうものだ。

返事を待つのをやめて、解きかけていた課題を取り組むことにした。苦手な数学の証明問題を何問か解き終えた頃、時刻は日付けをまたごう
としていた。

愛希からの返事は、まだ来ない。

私は、解けない証明問題も、愛希からの返事も諦めて、寝る準備をすることにした。
掛け布団を整えて、毛布をかぶってから、再びスマホの画面を見る。

静かなままだった。