その日の夜。
お風呂から上がってスマホを開くと、LINEが2件来ていた。愛希からだ。

『つきか〜』
『好きな人おしえろー笑笑』

ばかじゃないの、と思いつつ笑ってしまう。私はふわふわしたスリッパを履いて、自室のベッドに腰掛けた。

『おしえないからー!』

すると、すぐさま既読が付く。

『なんで!』
『じゃあヒントくれよ〜。席はなん部??』

どきりとした。結弦君の席は2部だ。でも、ここで正直に言ったらバレてしまうかもしれない。何と返すべきかしばらく悩んだのち、私は、あいまいな返事を打った。

『1部か、2部』

それから愛希の返事が来ないので、バレたんじゃないかと不安になっていたが、そんなことはなかった。

『へ〜。つきかって1部だよな?てことはけっこう、席近いん?』

さりげないところを突いてくるなぁ、と思う。

私が1部の一番後ろの席で、結弦君が2部の後ろから二番目だから、近いと言えば近い。言ってしまえば、手を伸ばせば届く距離に彼の机があるのだ。

そう言えば、結弦君の一つ前の席は愛希の席だった気がする。まあ、何でもいいけど。