それを聞いたきーちゃんは、少し悩むような仕草をして、ふーん、と呟いた。

「なるほど、相当本気なんだね。分かった。じゃあ、陰ながら応援するよ。でも、徐々に教えてよね〜。」

優しいきーちゃんは、そう言って笑った。
私の胸は、まだドキドキとうるさい。

「ん〜と、それで?悩みがあるんなら聞くよ。」

そう言われ、戸惑ってしまう。まさか、片想いの自覚が足りなくて落ち込んでいるなんて言えない。

「あの・・・ね。その、好きな人に近付きたいんだけど。あんまり接点がなくて。好きって気付いた途端、急に話せなくなっちゃって。頑張るにも、どう頑張ったらいいか分かんなくて・・・。」

上手く言葉がまとまらず、語尾があいまいになってしまう。自分で、自分の言っていることがわからなくなってきた。今、自分がこの想いをどうしたいのかも、わからなくなってきた。
きーちゃんは私の言葉を脳内でリピートしているかのように、うーん、とうなった。

「ほー。でも、接点なんて、同じクラスなんだから、近づこうと思えばたくさんあるんじゃない?ほら、おはようって言うとかさ。」

きーちゃんの言い分も、十分分かる。だが、しようと思っても出来ないのが、片想いのさがと言うものだ。
私は何も言い返せずに、斜め下を見た。

「ほら〜、元気出して。今日家に帰って、ちょっと考えてみるよ。片想いの解決策をさ。」

恋の相談なんて、腕がなるわーと言いながら、きーちゃんは私の肩をポンとたたいた。
私はその言葉に微笑みながら、さりげなく結弦君の方を見た。