「ばーちゃん、こんなところに本当にあるの?」
「行けばわかるわよ。」
「よくこんなところまで来れたな。」
「ふふ、20年前はまだ足腰もしっかりしていたからね。…まあ、それだけではないけどね。游くん、この鳥居を潜り終わったら着くわ。」
「いったい、どれくらい鳥居が続いてるんだ?」
「うーん、そうねぇ、400mくらいかしら。」
「すごいな。」
僕は恐る恐る、一つ目の鳥居を潜る。
今にも崩れてきそうな鳥居がずっと続き、僕はやや引け腰になっていた。
相変わらず雪は降り続けているのに加え、辺りは森と錯覚してしまうほどの木々に覆われているので、暗くジメジメとした雰囲気に呑まれそうになる。
一歩踏み出した途端、パキリ、と音がして思わず飛び退く。
「うわっ!!」
「游くん、相変わらず怖がりなのねぇ。ただ、小枝踏んだだけじゃないの。」
祖母はクスリと笑いながら怯える僕をたしなめる。
「そうだけどさぁ、すげぇ怖いよここ。寒いし、誰もいないし。」
「游くんには私がついているじゃないの。」
「そうだけどさぁ。なんでばーちゃんはそんな普通でいられるんだ?」
何度もなんども、周りを確認しながら僕はゆっくりと車椅子を押す。
「私には游くんがついてるし、この天昇龍神宮の2柱の龍神様もついていらっしゃるから安心なのよ。」
「2柱の龍神様…。そうだな。ごめんな、僕がもっとしっかりしてないといけないのに。」
「いいのよ。游くんは充分、しっかりしているわ。」
「いつでも、なにがあっても、ばーちゃんは僕が守るから。クヨクヨなんてしてないで、もっと強くなるから。」
「ありがとう。」
ガラガラと音を立てながら、歩みを少しだけ早める。
気持ちに余裕が出てきた僕は、改めて前に向きなおった。
昔はどんな景色だったのか、想像を巡らせながら確実に鳥居を潜り続ける。
多くの人で賑わい、鳥居が永遠と続く道に目を輝かせ、この先で待つ建物を目指して歩いたのだろう。
面影はなくなっているけれど、そんなキラキラとした大切な思い出がこの地に眠っているような気がした。
「行けばわかるわよ。」
「よくこんなところまで来れたな。」
「ふふ、20年前はまだ足腰もしっかりしていたからね。…まあ、それだけではないけどね。游くん、この鳥居を潜り終わったら着くわ。」
「いったい、どれくらい鳥居が続いてるんだ?」
「うーん、そうねぇ、400mくらいかしら。」
「すごいな。」
僕は恐る恐る、一つ目の鳥居を潜る。
今にも崩れてきそうな鳥居がずっと続き、僕はやや引け腰になっていた。
相変わらず雪は降り続けているのに加え、辺りは森と錯覚してしまうほどの木々に覆われているので、暗くジメジメとした雰囲気に呑まれそうになる。
一歩踏み出した途端、パキリ、と音がして思わず飛び退く。
「うわっ!!」
「游くん、相変わらず怖がりなのねぇ。ただ、小枝踏んだだけじゃないの。」
祖母はクスリと笑いながら怯える僕をたしなめる。
「そうだけどさぁ、すげぇ怖いよここ。寒いし、誰もいないし。」
「游くんには私がついているじゃないの。」
「そうだけどさぁ。なんでばーちゃんはそんな普通でいられるんだ?」
何度もなんども、周りを確認しながら僕はゆっくりと車椅子を押す。
「私には游くんがついてるし、この天昇龍神宮の2柱の龍神様もついていらっしゃるから安心なのよ。」
「2柱の龍神様…。そうだな。ごめんな、僕がもっとしっかりしてないといけないのに。」
「いいのよ。游くんは充分、しっかりしているわ。」
「いつでも、なにがあっても、ばーちゃんは僕が守るから。クヨクヨなんてしてないで、もっと強くなるから。」
「ありがとう。」
ガラガラと音を立てながら、歩みを少しだけ早める。
気持ちに余裕が出てきた僕は、改めて前に向きなおった。
昔はどんな景色だったのか、想像を巡らせながら確実に鳥居を潜り続ける。
多くの人で賑わい、鳥居が永遠と続く道に目を輝かせ、この先で待つ建物を目指して歩いたのだろう。
面影はなくなっているけれど、そんなキラキラとした大切な思い出がこの地に眠っているような気がした。