冷たい小雪が舞う朝、僕はいつものように神宮に参拝に来ていた。
幼い頃に祖母と一緒に参拝して以来、ここへ来ることが日課となっていた。
それは20歳になった今でも変わらず、祖母と2人でやってきた。
自分の身長より5倍以上もある立派な鳥居を一礼してからくぐり、手水舎で身を清めてから、本殿への二礼二拍手一礼を済ます。
「おはようございます、今日も参拝させていただき、ありがとうございます…。」
心の中でそう神様に感謝するのも、すっかり日常になっていた。
変わった点といったら、祖母を車椅子に乗せていることくらいだが、僕にとってそれは苦痛であった。
この前までは元気であった祖母が自力ではなかなか歩けないことを嫌でも受け入れなくてはいけないから。
家の中では回りに掴まりながら歩くことができるが、外出となると捕まる場所もなく、転ぶ危険もあるので先月から車椅子での参拝を余儀なくされていた。
だから僕は神様にお願い事をしないと決めていたにも関わらず、参拝の最後に祖母の健康を願わずにはいられない最近だ。
「ばーちゃん、今日は寒いからもう帰ろうか。」
「私は甘酒を一杯頂いてからがいいわ。」
「珍しいね。」
「ふふ、今日は特別よ、游くん。20年に一度しか味わえない甘酒があるんだから。」
「20年に一度…?初めて聞いた。そんな特別な甘酒があったんだね。」
「そうよ。」
祖母は意味ありげに笑みを浮かべると、その特別な場所までの道案内を始めた。
「まずはこの道をまっすぐ進んで。」
「了解」
幼い頃に祖母と一緒に参拝して以来、ここへ来ることが日課となっていた。
それは20歳になった今でも変わらず、祖母と2人でやってきた。
自分の身長より5倍以上もある立派な鳥居を一礼してからくぐり、手水舎で身を清めてから、本殿への二礼二拍手一礼を済ます。
「おはようございます、今日も参拝させていただき、ありがとうございます…。」
心の中でそう神様に感謝するのも、すっかり日常になっていた。
変わった点といったら、祖母を車椅子に乗せていることくらいだが、僕にとってそれは苦痛であった。
この前までは元気であった祖母が自力ではなかなか歩けないことを嫌でも受け入れなくてはいけないから。
家の中では回りに掴まりながら歩くことができるが、外出となると捕まる場所もなく、転ぶ危険もあるので先月から車椅子での参拝を余儀なくされていた。
だから僕は神様にお願い事をしないと決めていたにも関わらず、参拝の最後に祖母の健康を願わずにはいられない最近だ。
「ばーちゃん、今日は寒いからもう帰ろうか。」
「私は甘酒を一杯頂いてからがいいわ。」
「珍しいね。」
「ふふ、今日は特別よ、游くん。20年に一度しか味わえない甘酒があるんだから。」
「20年に一度…?初めて聞いた。そんな特別な甘酒があったんだね。」
「そうよ。」
祖母は意味ありげに笑みを浮かべると、その特別な場所までの道案内を始めた。
「まずはこの道をまっすぐ進んで。」
「了解」