「この神宮にはね、2柱の龍の神様がいるのよ」

どこか遠くを見るようにして笑みを浮かべそう言ったのは、幼い僕の手をひき、本殿への参拝をすませた祖母だった。

「りゅう…?」

「そう。1柱はとても大きくて白銀に輝く龍で、もう1柱は大きくて白い龍なのよ。」

「へぇ。2柱のおっきな龍が神様なんだね!」

そうよ、と穏やかに頷いた祖母。

僕は2柱の龍がいる姿を想像し、空を見上げた。

そのとき、曇っていた空からニ筋の光が差し込み、僕らを優しく照らし出した。

その光が2柱の龍のように見えた僕は目を丸くし、はしゃいで声をあげた。

「龍だ!龍がいるよ!」

「そうね。美しいわ。」

祖母と一緒に空を見上げながら、キラキラとした二筋の光をずっと、この先も、祖母と2人で見ていたいと、そう思った。