「では行ってきます。」
笑顔を崩さずにそそくさと家を出る。
ーガシャン
家のゲートを閉めた瞬間、ため息が出る。
藤堂、と書いてある高級住宅街でも一際目立ついわゆる豪邸。
見た目はいいけど、中は本当に地獄だ。
「あ、美颯おっはー。」
家の前に立っていたのは、木崎エリカ。
有名な資産家の娘で、エリカのお父さんとうちのお父さんは同じ大学出身で仕事でも関わりがあるから、エリカとは昔パーティーで出会った。
「おはようエリカ。新学期から派手ね。」
「そう〜?結構抑えめにしてるんだけどね〜。」
茶髪の髪とピアス、それに短いスカート。
慶山女子は偏差値全国トップレベルでお嬢様がほとんどだから、エリカみたいな派手な子は珍しい。