しばらく流され続け、少し開けたところでやっと解放された。


はぁ…

ずいぶん遠くまで来ちゃったな…

お兄ちゃんにLINEしよ…



「お姉さん1人?俺らと一緒に花火見ない?」

「え?」



スマホを取り出した時、見知らぬ男の人2人組が話しかけてきた。



「あ、あたし、1人じゃないです…」

「え、でも今1人じゃん?」

「めっちゃ可愛いねー彼氏とかいるの?」

「てかとりあえずLINE交換しよーよ」



1人があたしの手に持っているスマホを無理矢理取ろうとする。



「ちょ、やめてください…!」

「璃莉葉ちゃん?」

「…ッ!」



嘘でしょ…


夏休みに入ってから初めて聞いた声。

会いたくて会いたくて仕方なかった…



「利夏くん!」



ほんとに会えた…!



「は?彼氏?」

「…そうだけど、俺の彼女になんか用?」

「ぇ…///」



利夏くんはあたしの空いている手を掴んで自分の元へと引き寄せた。



「…なんだよ、他当たろーぜ」



見知らぬ2人組はバツが悪そうな顔をして去って行った。



「…大丈夫?」

「うん!ありがとう、利夏くん」



利夏くんに助けてもらうのはこれで何回目だろう…



「誰かとはぐれたの?」

「あ、お兄ちゃんと来てるんだけどはぐれちゃって…利夏くんは?」

「俺はクラスの女子何人かと来てたけどあまりの人の多さに気分悪いから今から帰るとこ」

「え、花火始まったばっかりだよ?」



夜空には絶え間なく大きな花火が打ち上げられている。



「あ!じゃあちょっと離れたとこなら人少ないと思うしそこから見よ!」

「え、でもお兄さんは…?」

「お兄ちゃんにはLINEしておくから大丈夫!行こ!」