[利夏side]


「え、それってもう王子璃莉葉のこと…」

「立花さん」



俺は立花の言葉を遮った。



「利夏くん!?どうしてここにいるの!?」

「げ…」



俺を見て元々大きい目を更に大きくする璃莉葉ちゃんとあからさまに嫌な顔をする立花。



「昨日はいいこと教えてくれてありがとう」

「いえいえ〜…」

「おかげでとんだ恥かいたわ」

「…!」



最後の一言は立花にしか聞こえないよう小声で呟いた。



「なになに?2人昨日なんかあったの?」

「璃莉葉ちゃんには秘密」

「え、なにそれ気になるよぉー」



璃莉葉ちゃんが上目遣いで俺を見つめる。



「…璃莉葉ちゃんてお兄さんのこと大好きなんだね?」

「え?お兄ちゃん?うーん…大好きってほどじゃないけど…」



いやいや、死んだ訳でもないのに半年不登校は大好きなんてもんじゃないだろ…

立花は気まずそうな顔してるし…



「見て!王子がいる!!!」

「嘘!なんでうちのクラスに王子が!?」

「やば!!めっちゃイケメン〜♡」



4組の女が騒ぎ出す。



「璃莉葉ちゃん、これ」

「あ!教科書!ありがとう〜!」



俺は朝、璃莉葉ちゃんが貸して欲しいと言っていた教科書を手渡す。



「じゃあね」

「授業終わったら返しに行くね!」



俺は女に囲まれる前に4組を出た。