[利夏side]

パジャマ姿で出てきた璃莉葉ちゃんはこの1週間で少し痩せたように見えた。



「利夏くん…どうして…」



璃莉葉ちゃんの腕を引き寄せ強く抱き締める。



「俺、璃莉葉ちゃんのことよく知りもしないで酷いこと言って…ごめん…」

「利夏くん…」

「璃莉葉ちゃん、俺…」



璃莉葉ちゃんの目を真っ直ぐに見つめる。



「俺…」

「璃莉葉?」



不意に聞こえた男の声。



「え、お兄ちゃん!?」

「…え?」



"お兄ちゃん"…?



「なんでいるの!?」

「はぁ?LINE見てねぇの?家帰るってLINEしたじゃん!」

「え、見てない」

「…てか彼氏できたの聞いてないけど?」

「え?ち、違うよ!」

「何が違うんだよ玄関でいちゃつきやがって…」

「もうっ!違うってば…!」



いや…

待てよ…



「お兄さん死んだんじゃ…?」

「「…え?」」

「…え?」

「璃莉葉ぁ、俺のこと死んだ設定にしてんのか?県外の高校いっただけで死んだことにしなくてもいいだろ!?」

「あたしそんなこと言ってないよ!」

「え…だって立花が死んだって…」



いや、言ってねぇな…

死んだとは言ってねぇな…

立花…

俺が勘違いするようわざとあんな言い方を…



「…ごめん勘違いだった、帰る…」

「あ、ちょっと利夏くん!」

「明日は学園来なよ」

「…うん!」

「じゃあね、おやすみ」

「利夏くん、来てくれてありがとう…!」



くっそ恥ずい…

勝手に死んだと解釈して璃莉葉ちゃんに…

俺璃莉葉ちゃんに何言いかけようとしてたんだ…?

''俺と付き合う"?

…もっと傷付けることになるかもしれないのに?

そんな無責任なこと言える訳ない…

もうあの頃みたいにはなりたくないんだ…