「はぁ…はぁ…」



あたしは全力疾走であの場から逃げ出した。


あんなの見たくなかった、聞きたくなかった。

更衣室で見たたくさんの子についたキスマークも、さっき見た保健室の光景も…

あたしはどこかで利夏くんはそんなことしないって期待してたのかもしれない。

でもそれを目の当たりにしてしまい、その現実を受け入れられていない。


目頭が熱くなり、視界がぼやけてくる。


利夏くんのバカ!!!

バカバカバカ!!!!!!

…いや、本当にバカなのは利夏くんを本気で好きになっちゃったあたしの方なのかな…


ねぇ、利夏くん…

あたしが利夏くんの特別になれる日はくる…?

あたしだけに愛してるって言ってくれる日はくる…?



「…帰ろ」



もう頭の中ぐちゃぐちゃ。

こんな状態で学園にいられないし、今は何もしたくない。


あたしは怜にLINEを送って学園を後にした。