[璃莉葉side]


「ちょっと!あんたここどうしたの!?」

「ふぇ?何が…?」



体育の授業を控え、更衣室で体操着に着替えていると突然怜が声をあげる。



「首のとこ!え、てかこれキスマ?」

「あー…」



そうだった、あたし、昨日利夏くんに…



「え?もしかして姫城さんも王子と遊んだの?」

「私も同じとこに…ほら、王子につけてもらったキスマあるよ」

「私もあるよー」

「私もー!」



次々と話に入ってくるクラスの女の子たち。

その子たちの首筋には共通して赤い小さな痕があった。



「王子って遊んだ子全員にキスマつけるみたいよー」

「そうそう!消えたらまたおいでってね!」

「キャー///私も言われたー!!」



そっか、この子たちみんな利夏くんと…



「てかぁ、みんなどんな風にシた?」

「うわ、言うの恥ずかしー////」

「私は、初めてって言ったら嘘でしょって即行バレたけどちょー優しくしてもらった♡」

「私は激しめのやつ…////」

「私も…Sな王子が好きなんだよね///」

「てか王子キスもエッチもちょー上手いよね!」

「ほんとそれ!毎回気持ち良すぎて蕩けそう」

「キャー///もう、恥ずかしい!この話終わり!!」

「てか時間やばいし!授業始まっちゃう!!」



急いで着替えた女の子たちは次々と体育館へ向かっていき、更衣室にはあたしと怜だけ。



「…大丈夫?」



怜があたしの顔色を伺いながら呟く。



「王子の女癖の悪さは度がすぎてるよ…やっぱり付き合うのは諦めた方が…」

「大丈夫!覚悟してたから、平気だよ」

「でももし付き合えたとしても浮気とか平気で…」

「怜!あたしたちも行こ?遅れちゃう!」



怜はあたしのために言ってくれてるって、わかってる。

ごめんね。

あたし弱くて…

現実を見たくないの…