ガタンッ
「……ッ!!」
再び車内が揺れたかと思うと、あたしの前に立っていた利夏くんが目の前に。
「ごめん…」
「う、ううん!」
これって、肘ドンってやつ!?
壁ドンより更に距離が近い肘ドン。
身長差であたしの目の前は利夏くんの顔ではなく胸元だけど、それでもあたしには刺激が強すぎる。
「璃莉葉ちゃん」
赤いであろう顔を隠すように俯いていると頭上からかかる声。
「なに…?」
ゆっくりと顔を上げると交わる視線。
艶っぽく微笑んだ利夏くんの顔が耳元に近づき囁く。
「キス、しよっか」
鼓膜が蕩けるくらいの艶美な声。
「だから…っ、それは、だめだって…」
「大丈夫、唇にはしないから…」
ふっと耳に息がかかると生温いものが這う感覚、そして耳の中でクチュッと響く音。
「ふぁっ…!」
嘘…
耳、舐められてる…!!!
「り、利夏くぅ…っ」
「声、抑えないと周りに聞こえるよ?」
「ッ/////」
そうだ、ここは満員電車。
ただでさえ人との距離が近いのに…!
「…ッ」
次はほっぺにキスをする利夏くん。
あたしにしか聞こえないくらいのリップ音が何度も続く。
そして、あたしの唇に、ギリギリ触れないくらい、唇の端の方にキスをされる。
利夏くんの伏せられた目、影を落とすまつげ…
まるで、本当のキスをしている気分になる。
「ぁ…っ」
首元に顔を埋めた利夏くんに首筋をなぞるように舐められて声が漏れてしまう。
くすぐったいような、ゾクゾクするような、変な気分。
「利夏く…だめ…人、たくさん…っ」
「みんなスマホしか見てないよ」
確かにそうだけど…!
そうゆう問題じゃないから!!
「利夏くん…!ッ!?」
首筋に一瞬チクッとした痛みが走る。
「あ…」
「な、に…?」
「痕つけちゃった」
「え…?」
振り返り、窓に映った自分の姿を見ると、首筋に赤い小さな痕。
これって…
キスマーク…!?
「癖で…ごめんね?」
癖でって…
癖になるくらい女の子にこうゆうことしてるってこと、だよね…
あたしだけじゃない、あたしはまだまだ"特別"じゃない…