「璃莉葉ちゃん、はい」

「あ、ありがと…」



しばらくして戻ってきた利夏くんにココアを手渡される。



「大丈夫?落ち着いた?」

「うん、利夏くんのおかげ…助けてくれて、ほんとにありがとう」



あの時、利夏くんが助けてくれなかったら…

そう思うと怖くて堪らない。

それでも、不謹慎だけどあの時、助けてくれた利夏くんはやっぱりあたしの王子様なんだと思った。



「ごめんね、利夏くんまで遅刻することになっちゃって…」

「あんな状態の璃莉葉ちゃんほっとけないから…」

「ありがと…」



利夏くんの肝心な時に優しいとこ、好き…



「…てかさ、スカートいつもより短くない?」

「え?」

「それにメイクも髪も、いつもと違う」

「あ、うん…///」



こんなぐちゃぐちゃになったメイクでも、いつもと違うって気づいてくれてたんだ…



「それってさ、昨日言ってたやつ関係ある、よね?」

「え…?」

「…俺のこと落としにくるってやつ」

「あ、うん、まずは見た目から入ろうと思って…でも、失敗しちゃった…初っ端からこんな目に合うし…」

「失敗かどうかはわかんないけど…可愛いよ、そのメイクも髪も」

「……ッ////」

「まぁ璃莉葉ちゃんはいつも可愛いけどね、でも俺のために頑張ってくれたんだって思うと可愛さ増す」



利夏くん…

利夏くん、それはもう…



「あたしのこと、好きだよね…?」



だってそうとしか思えない!

あたしに送る熱い視線、甘い表情…

その全てがあたしのことを好きって言ってる!!!



「好きだよ、女の子はみんな」

「〜〜〜そうじゃなくてっ!!」

「ははっ、もうすっかり元気じゃん、そろそろ行こっか」

「あ…うん!」



ほんとだ、あたしいつの間にかいつもの調子に戻ってる…



「あ、電車乗る前にこれ」

「何?」



利夏くんはブレザーの下に着ていた青いカーディガンを脱ぎ、あたしに差し出す。



「腰に巻いといて。その短いスカートじゃ周り煽るだけだから」

「あ…ありがと…!」



利夏くんが私物を貸してくれるなんて…!!

嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!!!



「あ、でもスカート腰のとこを折って短くしてるから長くしようと思えばできるよ?」

「…じゃあ返して」



しまったぁぁぁぁ!!!!

余計なこと言わなきゃよかった!!



「…や、やだ!」

「はぁ!?長くできんなら必要ねーだろ、返せ!」

「必要あるもん!!あ、電車来たよ利夏くん!早く乗らなきゃ!」



あたしはタイミングよく来た電車に早足で乗り込んだ。