アタシはそれ以上何も詳しく聞かなかった。



優斗は先輩のことが好きなんだ。



そう気付いて、妙に切なかった。

それは優斗に恋してたワケでもなくて

もちろん先輩に恋してたワケでもなくて


優斗のその隠さなければいけない、その気持ちが切なかった。




アタシはタバコの火を消して小さい方の袋を取り、先に走り出した。



後ろで優斗が慌てた様子でタバコを消してる姿を見て立ち止まって優斗を見た。




「吐き出したくなったら、いつでもアタシに言えよ!」



そう言ってまた家に向かって走り出した。



何だろ、この男前なアタシ(笑)



ホントは詳しく聞きたい気持ちはあったけどね。


優斗がそれを求めてないって思って。

だから、優斗が疲れた時に安心して話せる場所だけでも作ってあげたくて。




走り出したアタシの背後で優斗は固まってた。

それだけ見えた。


中々帰って来なかったけど何をしてたのかは分からない。


アタシの自惚れでも、自己満でもいいや。

いざというときに場所があるって伝えたかったんだ。