優斗が部屋に戻ってきて。

「一本いただきましたぁ」って笑うと、優斗も笑った。


『意外とイケるっしょ』

そう言って自分の海外製のタバコを取って火をつけた。

「女の子の前じゃ吸わないんじゃなかったっけ?」

アタシがからかうように言うと

『今回だけ特別に勘弁して』って笑った。


今思うと、内心ヒヤヒヤしてたからなのかなって。

先輩の灰皿が目の前にあるんだもん、何聞かれるか分からないよね。



でも無情にアタシは言ったんだよ(笑)



「そういえばさ、先輩と同じ銘柄のタバコも吸うの?」

深い意味なんて無かった。
ただ、灰皿があったから。


でも優斗は固まった。


『…なんで?』


そう聞いた優斗の顔からは笑みは消えてて。





アタシもそれに気付いて。



「だね。たまには色々吸いたくなるわな」

って誤魔化した。




その時にようやく気付いたんだ。


誤魔化したのは、優斗の視線が動いたから。


チラッと先輩の様子を伺って、周りの友達が寝てるか確認してたから。





口にしちゃいけない。


そう直感した。