「紅!」

久しぶりの全力疾走に息が上がる。

だけど、んなことはどうでもいい。

紅の冷たい目線と普通の客以下の扱いに思わず立ちすくむ。

「紅ちゃん、話しさせて?」

蒼空の言葉にも必要ない、興味がないと聞く耳持たない無表情の紅。

同志じゃなかったのか?と、悲しそうな顔を浮かべる七世。

こんな事を七世に言わせてしまった自分が情けねぇ。

それを聞いた紅の無表情が崩れて、泣きそうな顔になる。

オレと関わったことで、七世を傷つけてしまった事実を目の当たりにして…心臓が痛ぇ。

紅のこんな顔も辛くて、オレも目頭が熱い。

こんなに感情を揺さぶられるのは初めてだ。

そのあと紅は頑なに、オレとは何もなかったのだと感情を閉じ込めてしまい、一切目を合わせることはなかった。

完璧にオレを切り捨てようとしてる事実に目眩がしそうだ。

七世を傷つけたオレを、もう許してはくれないか?

そう考えたときに、ゾクッとして今まで味わったことのない絶望感が心に渦巻く。

もう会えなくなったら…マジ耐えらんねぇ。

絶対狂う。

紅と七世は離せない。

生きてる意味さえなくなる。

それくらい大事なんだよ。

許してもらえなくても。

…それでも、お前達の傍にいたくてたまらない。

お願いだ。情けないけど、オレを捨てないでくれ。