「はじめまして、紅の姉の五十嵐埜々と申します。」

「瀬高永久といいます。」

「服部蒼空です。」

「ああ、先ほどの方達の血縁者さんですか。紅がお世話になってます。」

私を置いて、どんどん話が進んでいく。

「七くんが傷ついていた理由を教えてください。」

のの姉は永久に鋭い視線を送りながら、質問する。

「最近、ここに来れなかった理由があって、それで昨日、女といるオレを見たからです。」

「それだけで傷つきますか?」

「…同志だといったはずの、オレにウソをつかれたと思ったからです。」

「同志…?」

のの姉が問いかけたあと、私はすぐに遮った。

もう、まっさらに。

永久との間にはなんにもなくしてしまえば良い。

『のの姉、もういいのよ。何もないし、何もなかったのよ。七くんを1番に考えなきゃいけなかったのに、私が悪かったわ。』

「紅!」

「紅ちゃん…!」

『お帰りください。七世にはもう会わないでください。』

真剣に伝え、振り向かずに裏へと入った私。

そのまま2階に上がり、目を閉じる。

ほんの少し、気を許しただけよ。

大丈夫、永久と会う前の私達にすぐ戻れるわ。

だから、少しだけ…今だけ涙を流すだけよ。

すぐに泣き止むから。