桐谷さんがコーヒー渡すなんて意外だな。

そう思って彼女をチラリと見る。

「何?今珍しいって思ったでしょ?」

視線に気づいた彼女が睨みながら言った。

「え!いや、違うけど。」

否定したけどバレバレだよね。


「香菜もよくこうしてくれたんだよね……。
落ち込んだ時とかジュース渡してきてさ。
そのまま何も言わずに一緒にいてくれたの。

慰めてほしいわけじゃない。
放っといてほしいわけでもない。
ただ傍にいてほしかった……。

それを香菜は知ってたんだよね。
なんでこんなに人の気持ちが判るんだろうって不思議だったな。」

彼女の目は今にも涙が溢れそうだった。