彼女はケータイを耳に当てて耳を澄ました。

「掛かった!」

「え?嘘!」

彼女は素早くスピーカーにして僕に聞かせる。けど……。

『この電話は、現在電波の届かない所にあるか、電源が入っていません。』

やっぱりそう来たか。

「電波の届かない所……。」

桐谷さんは柵に手を掛け、崖の下で荒ぶっている海を見た。