隅田さんが重々しく口を開いた。


「あの崖は自殺スポットで有名だし、遺書を書かない人もいるって……。警察はそう判断したの。」


「自殺スポットで死んだからって……。」


「私も同感。だけど、あの香菜が事故で死ぬなんて考えられないし、誰かに殺されたなんて思いたくもない。」


「だったら一緒にもう一度捜査を……。」


「もう無理なのよ!」
隅田さんが僕の言葉を遮った。


「もう無理なの。私だって香菜の死の真相を知りたいわよ。でも考えれば考えるだけ辛くなるの。香菜の事をもう忘れさせてよ。」


震える声でそう言った。